ボッテジーニの楽器の構え方について。

当時の有名人だったボッテジーニは、ありがたいことに写真やイラストで多くの肖像が残っています。そこで今回は、彼の楽器の構え方を中心に考えてみましょう。
a0286469_17012322.jpg
写真の分析も面白いですが、まずは、彼が旧版メソッドの序文に書いた、その名もズバリ「コントラバスの構え方」という一節の日本語訳をご紹介します。この部分は現在の出版では完全にカットされており、非常に残念なことです。訳は全てブログの著者mitsuguによるものです。無断での転載・複製はお控えください。

「学習者はほんのわずかに右足に体重をかけながら、自分自身をまっすぐに保つ。コントラバスは、分かるか分からないか程度に奏者の方に傾けて構える。学習者の体格がこの楽器を操るために必要なものであるならば、上部の側面が左わき腹に触れ、下部の側面の角が膝に触れて、腕を用いずともコントラバスが自立できるはずである。」

こちらが、その同じメソッドにあるイラスト。
a0286469_17012562.jpg
このように、メソッドにおいては、大して目新しいアドバイスは無いことが分かります。というか、他に3弦楽器の有利さや音楽理論などにはかなりのページを割いていることを鑑みると、シンプルすぎる気すらします。しかし例えば、「自分自身をまっすぐに保つ」というのは、僕個人としては構え方における重要なポイントになっています。自分の体を楽器に合わせるのではなく、楽器を自分の自然な状態に合わせるアプローチ、とでも言いましょうか。

さて、では次にネット上や本で見つけた限りの、ボッテジーニが楽器と一緒に写っている写真を列挙していきたいと思います。まず一番若そうなのが冒頭にも載せたこれ。実際に弓を構えているので、大いに参考になります。弓のコンタクト・ポイント、楽器の高さ、身体や腕の開き方などなど・・・。
a0286469_17012322.jpg
次に若そうなのがこの有名な写真でしょうか。でもこれはポーズですよね。変なアゴ髭に不自然な足の曲げ方、遅く来た思春期?笑。
a0286469_17012266.jpg
年代順に行くと、つぎはこの辺かな?正面からカメラを見据えることができるようになった時期。笑。
a0286469_17012220.jpg
a0286469_17012155.jpg
ここら辺も明らかにポーズですから、実際の演奏姿の参考にはあんまりならないかと思います。観察できる点としては、楽器の高さ。目とナットの高さをくらべると、この2枚の方が最初の写真より、楽器が高くなってませんか?ハーモニクスポジションや、よく評にある「ゆっくりとした弓使い」を実現するには、楽器は高い方が有利(左手が楽にハーモニクスポジションに届き、右手は自然に駒よりを弾けるため)だと思うのですが、何にせよそこまでエンドピン(調整不可能っぽい)は長くありません。これだと、ハーモニクスポジションは結構背中を曲げていたんじゃないだろうか?ハイポジションは風刺画ばかりで、リアルな絵や写真が無いのが残念です!

今度は壮年の3枚。すべてポーズかと思われます。
a0286469_17012351.jpg
a0286469_17012131.jpg
a0286469_17012272.jpg
しかしこれらの写真、実際にこんな服で演奏していたんだとしたら、驚きです。重たいジャケットやコートばかり、弾きにくそうにもほどがある!
誰かが冗談で言っていたのかどこかでチラッと読んだのか忘れましたが、ボッテジーニは顔の右側をカメラに向けた写真がほとんどです。何か理由があったんだっけ・・・?

そして晩年。相変わらず、カメラ目線を捨ててまで顔の右側を写させています。笑。
a0286469_17012211.jpg
a0286469_17012352.jpg
うん、どうやらみんな本当にこんな厚着で演奏してたんですね・・・。この時代、人前でシャツ姿になるのはドレスコードでタブーだったんでしょうか?

最後から2枚目も、いちおう弾くために弓を構えた貴重な瞬間。ローポジションなので当たり前ですが、弓のコンタクトポイントは指板寄りです。ただし、最初に紹介した旧版メソッドには「駒に近づけば近づくほど音色は強くなり、離れればぼんやりとした音になる」という記述がありますので、知識としてはもちろん持っていた訳です。うーん、ハイポジの写真が無いのがつくづく惜しまれる・・・。
左手も、意識したのかポーズなのか、彼がローポジションで行っていた「ミラノ風(ロンバルディア風)」の運指が見て取れます。半音も全音も1-4の指で取っちゃえ、という、手には優しいけどメカニックな利点はあまり無い運指法です。

こうして一か所に集めてみると、全体の印象として楽器との関係に「リラックス」しているのが見て取れます。若い時の大成功の後は「ただのヴィオローネ(コントラバス)奏者としてでは無く、作曲家として成功したい!そのためならコントラバスを全て手放してもいい!」とまで書き残したボッテジーニですが、結局演奏活動はコンスタントに晩年まで続けていました。果たして本心はどうだったのか・・・写真から見る限り、仲良さそうですよねー。笑。

クリックして応援お願いします!


人気ブログランキング
[PR]
by mitsugu-ts | 2017-04-16 18:04 | ジョヴァンニ・ボッテジーニ研究 | Comments(0)

イタリアの東北、風の街トリエステで生活するコントラバス弾きmitsuguのブログ。トリエステ情報や音楽、コントラバスに関する考えをまとめています。ときどき近況も。どうぞよろしく!


by mitsugu-ts