人気ブログランキング | 話題のタグを見る

読書の夏、始まってます!

学期中は忙しくて本をゆっくり読む暇が無いもので、夏休みになると同時に本をたくさん読み出す事になります。今年は、今までたくさん読んできた翻訳物(村上春樹や、アメリカ文学のイタリア語翻訳)ではなく、本物のイタリア文学に挑戦しよう、と決めていました。イタリア語翻訳のものは、イタリア語ならではの言い回しや単語が必然的に少ないので、僕にとっては読みやすいのです。最初からイタリア語で書かれた本は、僕のイタリア語力にとっては一つの挑戦、気合入ってます!
読書の夏、始まってます!_a0286469_16275537.jpg
さて、本格イタリア文学といえば、こちら。マンゾーニの「いいなづけ(I promessi sposi)」です。ダンテの神曲と並んで、イタリア人で読んだ事が無い人はいない(学校で必ず習う)と言われています。とは言っても、詳しく聞いてみると全編通して読んだことがある人は稀で、内容もあんまりハッキリは覚えて無いようです。笑。

なんせ38章にわたる超大作、しかも歴史上の人物のエピソードとフィクションが組み合わされた、当時(1800年代初め)の流行のスタイルで、メインのストーリーの進みも遅い。更に「難しい言葉で書かれた原稿を書き写してるだけでっせ」という作者の責任丸投げの姿勢で始まりました。笑。全部読むつもりは初めから無く、みんなに聞いて重要そうだった「最初の数章」「Monaca di Monzaのエピソード」「L'innominatoの改悛」「最後の数章」を読みました。こうして、「全部読まなくては!」という強迫観念抜きで読んでみると、こまかい心理描写が面白かったです。ストーリーも恋人の冒険、弱者と支配者の対立と、分かりやすい。最後は大団円です。超大作の最後の最後のフレーズが、「もしこのお話が退屈だと感じられたとしても、ワザとやったことじゃないですから!」という言い訳フレーズで終わったあたり、カワイイやないですか、マンゾーニ。笑。

夏の初めから読み始め、楽しくって一気に読んじゃったのがこちら。
読書の夏、始まってます!_a0286469_16313258.jpg
イタロ・カルヴィーノです。「我々の祖先(I nostri antenati)」という三部作のうち、一作目の「まっぷたつの子爵(Il visconte dimezzato)」と二作目の「木のぼり男爵(Il barone rampante)」を一気に読破、後は三作目を残すのみ。特にこの「木のぼり男爵」が面白かった!子供の意地で木に登ってから「もう降りないもん!」と言って、そのまま生涯を木の上で暮らしてしまった男の話で、設定も語り口もストーリーも、僕のツボにはまりました。カルヴィーノはコスミコミケを読んだ事があって気に入ってたんですが、さらに気に入り度が高まりました。この版の装丁もお気に入り、もしどっかで見つけたら買ってしまうな・・・。カルヴィーノの最新版(Oscar Mondadori)の装丁があんまり好きじゃ無いんですよねー。

長くなったので、残りの本は次回!充実した読書の夏を送っています!
読書の夏、始まってます!_a0286469_17152465.jpg
クリックして応援お願いします!


人気ブログランキングへ
Commented by accaesse at 2014-07-18 08:44 x
わっ、I promessi sposiですね!
ついこの前まで、イタリア語教室で勉強してました。といっても外国人向けにやさしく短縮されたものなんですが。
キリスト教の道徳本の先入観があったのですが、なかなかどうして、人物像がはっきりしていてドラマみたいで面白かったです。
年齢的に、ヒロインのお母さんAgnesに一番親近感をもちましたね
ガンバルお母さん!
これをやってる時、偶然30代イタリア人2人と出会ったんですが、さすが、2人ともよく知ってました、みんな学校で習うんですよね。
1人の方は先生(日本人)が説明しきれない部分
”ペスト収容所の人数が16,000unita”を
「manzoni流の表現方法で、もうpersonaではなくなってる(物としてあつかわれている?)表現」と熱弁をふるってくれて、unitaに悩んでいた私達は、ものすごく納得しました。
そして、Italo Calvinoも!
ずいぶん前にやった「マルコヴァルドさんの四季」が好きでした
Commented by mitsugu-ts at 2014-07-19 02:13
accaesseさん、I promessi sposiを読むとは、かなりのレヴェルの教室ではないですか!話がわき道に逸れるのを気にしなければ、確かにドラマみたいで面白いですよね。そのペストの部分は読みませんでした!ただマンゾーニ本人が、「ちょっとペストの暗黒部分を長くしすぎたな・・・」と思って、原本から大部分を削除したそうです。
そのカルヴィーノの本は読んだ事ないですねー。こちらはとにかく設定が面白いですよね。ありそうでない空想の現実、という感じで、日本人の人が読んでも楽しいのではないでしょうか。
by mitsugu-ts | 2014-07-14 17:19 | イタリア文化・日本文化 | Comments(2)

イタリアの東北、風の街トリエステで生活するコントラバス弾きmitsuguのブログ。トリエステ情報や音楽、コントラバスに関する考えをまとめています。インスタグラムでは「#今日のトリエステ」を発信中、ときどき近況も。どうぞよろしく!


by mitsugu-ts